昔の地球の自転周期は「1日5時間」だった? 未来はどうなる?

宇宙

地球が誕生したのは 約46~45億年前 と言われていますが、その頃の地球の「自転の速さ」は すさまじかったそうです。現在の地球の1日(地球が一回転する自転の時間)は24時間ですが、地球が誕生した当初は「1日がたった5時間しかなかった」と推定されています。

では、なぜ 現在の地球の1日は「24時間」に伸びたのでしょうか。今回は、自転速度が遅くなった原因、その後の驚くべき変化、自転周期の未来予測などについてフカボリしていきたいと思います。

自転を遅くする原因は「潮汐摩擦」だった!

地球の自転速度が遅くなった(自転周期が長くなった)のは、ズバリ「潮汐摩擦」(ちょうせき まさつ)という現象が 主な原因である といわれています。

潮汐摩擦とは、月の引力によって引き起こされる潮汐運動(ちょうせき うんどう)海水と海底や陸岸との間で生じる摩擦現象です。と申しましても、少々わかりづらいので、詳しく説明しますね。

まず、月の重力が地球に影響を与え、地球上の海水が少し引き寄せられることを考えてみてください。これが「潮汐」(ちょうせき)、いわゆる「海の満潮と干潮」を引き起こします。

つまり、月の引力により、海水部分が引っ張られて、一部が「膨らむ」ようになります(満ち潮になります)。ざっくり言うと、地球の形が少し楕円形になります。

その一方、地球は自転していますから、この自転により「膨らんだ」部分(楕円の盛り上がった部分)が移動しますが、海水が月の引力によって新しく膨らんでも、瞬時には形が移動できません。

なぜなら、膨らんだ海水が 海底 や 陸岸 とぶつかったり海水の粘性の影響(水温と塩分濃度により抵抗が増減する)もあったりして、移動するのに時間がかかるからです。こうして「摩擦」を生み出します。

この潮汐摩擦は、何かしらのエネルギーを吸収することになるのですが、そのエネルギーが地球の自転エネルギーから取り出されることになります(摩擦が “自転のエネルギー” を奪う)。

つまり、「 地球の近くに月がある ⇒ 地球に海がある ⇒ 月の引力で潮汐摩擦が起きる ⇒ 摩擦が起きると自転のスピードが遅くなる 」ということです。

これは「自転車のタイヤが泥に引っかかると(漕ぎづらくなり)、自転車の前進が遅くなる」のと同じ原理です。潮汐摩擦は、地球の自転を遅くする「」のようなものです。

非常にゆっくりとしたプロセスですが、数十億年にわたって積み重ねられると、地球の自転速度はだんだんと遅くなり、今では 自転周期が 24時間 にまで伸びてしまった、ということです。

余談ですが、この影響は月にも及んでいて、この「運動量の移動」によって、月の公転は加速され、なおかつ 1年に 3.8cm ずつ 地球から遠ざかっているそうです。たった4センチ弱とはいえ、月がだんだん遠くなるなんて なんだか さびしいですね。

地球の自転:「1日」の驚くべき変化

地球の自転が遅くなると、1日(地球が一回転する時間)が長くなります。現在、地球の自転周期は約24時間ですが、地球誕生直後の自転周期(自転軸を1周する時間)は、地球内部の物質の状態や地球表面の状態などから、(既述の通り)5時間程度であったと推測されています。14億年前には1日が18時間だったそうです。

また、原子時計の計測によると、1日の長さが 100年前よりも1.7ミリ秒(1秒の1000分の1)長くなっており(イギリスの研究チームの測定では +1.8ミリ秒)、歴史的な天文記録の分析では、2.3ミリ秒 長くなっているとされています。

この現象により、遠い未来では「1日が現在よりもずっと長くなる」可能性があります。「100年で 約 2ミリ秒 長くなっている」として計算すると、5万年後には1日が1秒長くなり、さらに1億8千万年後には 1時間長くなって「1日が25時間になる」ということになります。

(補足:ここ数年は、地球のコア、地震による噴火、大気、海洋などの影響で、地球の自転が短くなっているデータも出てきていますが、長期的には潮汐摩擦の影響で長くなるとされています。)

もしも 1日が「25時間」なら …

毎日が忙しい人々にとって、「1日 25時間」なら、遊びや趣味の時間を増やせますし、睡眠時間だって増やせそうですね。

ここで、1日「24時間コース」と「25時間コース」を、「トータルの生きる時間数(寿命時間)が同じ」という前提で比較してみましょう(うるう年は無視)。

「1日 24時間」のときの平均寿命が 84歳 だとした場合、寿命時間は 1日 24時間 × 365日 × 84年 = 735,840時間となります(=84年)。

これを「1日 25時間」で割って計算してみると、735,840時間 ÷ 365日 ÷ 25時間 = 80.64年 となります。よって、「84歳 - 80.64歳 = 3.36歳」も短くなってしまう計算になります。

言い換えれば、「朝を迎える回数」が減ってしまうともいえます(3.36年 × 365日 = 1,226日 も減る!)。土・日・祝日(or 休日)の回数も減ってしまう、という言い方もできますね。

もちろん、これは(他の条件を一切無視した)計算上の話なのですが、もし1日 25時間 の人生を選べるとしたら “1日の時間を増やせる” かわりに “生きる年数(日数)を減らす” ことになりそうです。24時間 or 25時間 … 究極の選択になりそうですね!

ちなみにワタシの場合、1日1時間増えても、ダラダラしたりして うまく有効活用できない自分が目に浮かんできます。このため、現状の「1日 24時間コース」で満足かな、と思っています。皆さんはどちらをお選びになりますか。

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